Strawberry & Chocolate

昔から思ってた。



この国はどこかがおかしいと。



魔法の存在を知らない全ての人間が一度は憧れる夢と幻想が溢れる魔法の国。



だが実際はそれとは全く正反対だ。




魔法の国ヴァイズ。



そこに生きる全ての人間は王族の命に従い、王族は長老院の命に従い、全てが統括されていた。



これじゃまるで軍隊だ。



けれどこの国に生きる国民はそれに何の疑問も持たない。



現在の東方地域がいい例だ。



王族が命ずる任務に縋ろうとする。



そして任務には絶対遵守の精神。



仲間を失うことも己を傷つけることも厭わない。



任務が魔法使いたちにとって全てだ。



だから任務を寄越さない王族に反発する。




不信感を持つ俺がおかしいのか?



何がなんでも任務を長老院から取ろうと躍起になってるマリィの姿をこれ以上見たくないと思う俺がおかしいのか?



それに今、全ての区域に出されている任務だってそうだ。



全ての任務がイーヴルに関するもの。



そのイーヴルに対抗する武器、〝Hope Lights〟の使い手たちのサポートがほとんどだ。



それらは俺が生まれる前から続いているらしい。



それを誰もおかしいとは思わなかったのか?

< 263 / 266 >

この作品をシェア

pagetop