Strawberry & Chocolate
私は無意識にある場所まで来ていた。
〝苺蘭学園 高等部〟(イチランガクエン コウトウブ)。
昼に入学式を終えたばかりの、明日から私が通う高校。
とは言っても、この苺蘭学園は、幼·小·中·高·大のエスカレーター制。
殆ど中等部からの繰り上がりで顔なじみばかり。
まぁ、多少外部枠からの生徒もいるけど。
だからあまり高校に進学したっていう実感はないんですよね…。
入学式の今日は当然、部活動もない。
殆どの生徒が帰宅し終えた校舎はシーンと静まり返っていた。
私は職員室にいた先生に、忘れ物をしたと嘘をつき目的の場所へと向かった。
東校舎の4階まで階段を上がり、更に屋上へと続く階段を上がる。
〝立ち入り禁止〟。
屋上の扉にそう書かれてあり、鍵も掛かっている。
中等部もそうでしたけど…高等部でも屋上は立ち入り禁止なんですね。
変な学校。
だけど、そこは想定内。
鍵はさっき職員室で拝借済。
完璧校則違反だし、バレたら多分停学処分になってしまうけれど…。
中等部の時からばれなかったし、それに…屋上でないとダメなんですよね。
私は屋上の重い扉を開けた。