お箸付けますか?

*好きな人




「拓哉先輩……本当にすみませんでした……。」



「…もういいって。逆にいいのか?夕飯ご馳走になって。」



午後8時、仕事も終わりメガネ君と並んで会社を出る。


木彫りを壊して申し訳ないと、俺に夕飯をおごってくれるそうだ。


寒いし近場にするかと、例のテレビ局横のレストランへ向かう。



「夕飯代で済むんであれば……先輩があんなに欲しがってたマーライオンの木彫りを……僕は…僕は……。」



おいおい…頭を抱え、今にも泣きだしそうなメガネ君を見て若干引く。



「だからもうやめろって、木彫りの1つや2つで。」



「…でもこれで先輩の恋愛が上手くいかなかったら……僕のせいだ。」



……大丈夫、もともと上手くいってないから。




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