死のメール

②不思議な幼女『慶嘉』

 そもそも慶嘉が不思議な力を持っている事、そして天才だという事に気が付
いたのは慶嘉が生まれてから1、2ヶ月経った頃の事だった。

 まだ生まれたばかりで泣く事しか出来ない赤ん坊だが、慶嘉は泣く事をせず
に、お腹が空いた時はミルク瓶を指差し、おしっこが出た時には自分で紙おむ
つを破ったりもした。友嘉も赤ん坊の頃に同じことをしていたという。

 次に慶嘉が持っている能力の事である。
慶嘉は霊能力と超能力の二つの力を持っており、それもまた、赤ん坊の頃から
力を発揮していたという。

 ようやく這い這いが出来るようになると、慶嘉は何時もある場所へと向かっ
ていった。
友嘉に依るとその場所には必ず霊が居たと言う。

 そして超能力が発動したのは危険な時だった。
俺と友嘉が目を離した隙にテレビの上にあった花瓶が慶嘉の方に倒れそうに
なった。
慶嘉はそれを超能力で宙に浮かせていたという。

 つまり、慶嘉は友嘉の能力を全て受け継い
だ事になる。
慶嘉の能力は成長していく毎に上がっていき、慶嘉は超能力で『自分の母は殺
された』という事を初めて知ったのだった。

 そしてある日、慶嘉は異様な言葉を俺に突きつけてきた。

「ねぇパパ…ママが押し入れで泣いてるよ。」

慶嘉の急な発言に父親の俺でさえも驚いた。
友嘉が押し入れで泣いている?そんな事あるものか。
慶嘉を連れ、半信半疑で押し入れの前に行き、恐る恐る押し入れの戸に手を近
づけ、がらっ!と押し入れを思い切り開けた。
押し入れに友嘉の姿はなかったが、俺の目の当たりにした光景は目を疑ってし
まうようなものだった。
押し入れが全面、血で染まっていたのだ。

 すると慶嘉は何も気にせずに押し入れに近づき、少ししてから振り返って俺
の方を見た。

「パパ、そんな怖い顔してたらママがもっと泣いちゃうよ。それにね、パパが
ママの事見えないのはパパに霊力が無いからなんだよ。」

 霊力なんて言葉、何時何処で誰から聞いて覚えたの?
そう聞く間もなく、慶嘉は俺の手を引っ張り俺を床に座らせると俺の額に手を触
れてきた。
段々見えないものが見えてくる…
暫くしてから押し入れに目を遣ると、体全面が血に染まり、涙を流している女性
が…友嘉がいた。
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