いつもの河原～君と僕とこの場所で

「いいじゃんそれ」

～♪
～～♪

真っ赤な夕日で世界中の何もかもが赤く見えるこの時間。
僕はいつもこの河原でギターを弾くのが日課だった――。

誰もいなくて、空と川と僕だけの世界のようにいつも通り、何のセンスのかけらのない自分で作った曲を弾いていた。

～♪…

「―――ふう」

夢中になって弾いているといつの間にか辺りは真っ暗になっていた。

さて帰るか。

愛用のステッカーを貼ったハードケースにアコースティックギターを片付けようとした。

「いいじゃんそれ」

いつもは誰もいないはずの河原に僕以外の声が聞こえた。

とても透き通るようなきれいな声。

僕が最初に思ったのはそれだった。

「あ、ありがとう」

とりあえずお礼を言ってみた。
まだ顔は見てない。自分でもかなり動揺してるのがわかった。

「君。いつもここでギター弾いてるよね」

思いがけない発言に、僕は驚いて勢いよく声の主の方へ顔を向けた。