緊急HR

ガラッ…


『開いた…っ!!』


何の障害もなく、すんなりとドアは開いた。

朝だというのに薄暗い室内は、相変わらず薬品臭さが漂っていた。

実験器具などが置いてあるだけで、パッと見、人の居る気配は無い。


『やっぱ理科室って気味悪りぃな…』


『てか誰も居ないの…?』


上沢は隣の理科準備室を調べようと、俺らから少し離れた。


『フラスコとかいざとなったら武器になんじゃね?』


中島が棚を指差して言う。


『投げつけんのかよ…まぁお前のコントロールがありゃいけそうだけどよ』


『いや、ちょ待て、野球と一緒にすんな…なんかヤダ』



グチョッ


『!!?やっ!!なんか踏ん…』


何かの感触を感じ、下に目線を落とした上沢の声が、ピタリと止まった。


『……………』


『ん?どした上沢』


俺らは上沢の方を向く。


『!あ…あ…安……し、した…』


何かに気づき、隣で震えながら指を差す中島を不思議に思い

俺は差された所を見る。

『……は……』



一その途端、俺は言葉を失った。

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