君に秘密の恋
秋の夜空には、月がすごく映える気がする。


ベランダで夜空を仰ぎながら、目を凝(コ)らすように細めてみた。


一際輝く星は、まるでいつもキラキラしている紫みたい。


いつまでもこの気持ちを健一に伝えられないあたしは、さしずめ弱々しい光を放つ小さな星って所だろうか…。


紫みたいになりたい……


そう願いながらそっと目を閉じた時、隣のベランダのドアが開いた。


「何だ、千晶かよ……」


部屋から出て来たのは、相変わらず無愛想な顔をした健一だった。


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