君に秘密の恋
風が強くなって来たのか、窓がカタカタと揺れている。


静かなリビングに小刻みに響く音は、ほんの少しだけ不気味に思えて…


あたしの不安を煽(アオ)るみたい。


そのせいもあって、健一の言葉を待っている間に何度も耳を塞いでしまいたくなった。


しばらくすると、ずっと黙っていた彼が深いため息を零した。


その瞬間、緊張が走ったあたしの体がビクリと強張った。


「千晶……」


健一はあたしの瞳を真っ直ぐ見つめながら、ゆっくりと口を開いた。


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