王国ファンタジア【宝玉の民】-外伝-



それを聞き付け、こちらに向き直るドタバタトリオ…もとい、月灯の民御一行。

【月灯の民】という部族と二人の少女の髪の色を見ていて一つ思い出した。
ドルメックの記憶が正しければ、盗賊の間では知らぬ者はいない、有名な二人組の筈だ。


「【月灯の民】が明るい月夜に到着とは、なかなか乙だな。

“月光と闇夜”と、…そっちの少年は…知らないな」


ドルメックが放った言葉に身構える二人の少女。

白髪少年はあからさまに噛み付いてきた。


「なっ、何でそれを知ってやがる!
あんた、何者だっ?!」

「あっ!ちょぉっとユリっ!それって私のセリフでしょっ?!勝手に取んないでよっ!」


バンダナ少女が、目の前に立った白髪少年の服を思いっきり引っ張る。
見事に首が締まった。


「ぅぐぇっ…?!何すんだよっ?……ってか、それ処じゃねぇしっ!空気読め!!」


「ドラゴン討伐のメンバーの人かしら?
人の詮索する前に、自ら名乗るのが筋じゃない?」


やはり無表情のまま、話し掛けてくる黒髪の少女。
後の二人はのことは、最早完全無視を決め込んでいる。

ここまで堂々としているのを見ると、いっそ清々しささえ感じた。


「あぁ、悪い悪い。
まだ名乗って無かったな…」

『っていうかっ!こっち完全スルー?!』


置き去りにされた二人の声が綺麗にハモった。




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