お隣さんの隣


「ねぇ、菜月君の時はどんなだった?」


“菜月君”ってのは夏樹ちゃんの彼氏。


2人の名前が同じなのは、



夏樹ちゃん曰く、偶然
菜月君曰く、運命



らしいです。



名前が同じなことに最初こそ驚いたものの、2人がカップルになってからは、“名前の同じ名物カップル”は校内では有名になって、しかも何かと………






『呼んだかい!?愛しのマイハニーっ』


こんな感じだから目立つんです。




『菜月、恥ずかしい』


クラスは違うのにどこからともなく現れた菜月君。
いつもテンションがこんなだから夏樹ちゃんの対応はだいたい冷たい。




『夏樹がつべだい…』

グズン、とわざと鼻を詰まらせて言う菜月君はなんだか可愛い。




かと思ったら…、



『昨日、2人の時はあんなに可愛いかったのに…』


ニヤリと意味深に笑う菜月君。





昨日何があったんだぁーっ!



『う、うっさいっ!』


うわぁツンデレだ…。
夏樹ちゃん、初耳だよ。



菜月君は一通り夏樹ちゃんをいじったところで、私のほうを思い出したように振り向いた。






『ねぇねぇ、ほんとは俺の名前呼んだっしょ?』
「うん、よん『呼んでないっ!』


「?」




< 41 / 113 >

この作品をシェア

pagetop