=キング of ビースト=
「智蘭に総長はいらない。」
秋の率いる智蘭。だが、あくまでも秋は下っ端の代表として狼那連合同盟の集会に来る。
夜琉に総長を指名された秋。だが、秋はそれを断った。
智蘭は他の族とは少し変わっていて智蘭の下っ端たちは、那龍、狼羽、縁狼の三つに所属している。
争いが起きたり、何かあった時に各族に配置される。下っ端個人の能力を見極め、臨機応変に下っ端を各族に送りだす。
夜琉は秋に、智蘭を任した。だが秋に断られたときに言った。
「秋、おめぇが智蘭に総長はいらない、と言った。ならそれでいい。だが、決して忘れるな」
「智蘭はいかなるときも狼那連合同盟に全力を尽くす、ですよね?」
「ああ。」
「それに俺は納得がいかないんです。智蘭のトップに立つ人間が、智蘭の掟に不満を持っている。そんな事あってはいけない。」
「…。」
「だからと言って掟を変える事はできない。でも今の智蘭に俺以外で総長を勤めることができる人材はいない。」
「よくわかってるじゃねぇか。」
「なら総長はいらない。」
「そうか。だが秋、総長にできない事はない。」
総長になれば何でもできる。掟を変える事だってできるのだ。それを知っていても秋は、掟を変える事がない。
秋に総長の任命を伝えるときにした夜琉と秋の会話だった。