僕等がみた空の色
第8楽章 夢見心地で。
あのあと、どうやって家まで帰ったのか覚えていない。
頭がぼーっとして、ずっと結城の言葉が繰り返し響いていた。
ただ、結城の言葉には何も返せず,少しずつ後ずさりして、
「弾けない」
と声を絞り出すように言ったあと、駆け出した。
階段を駆け降りるとき、上から結城の声がずっと聞こえてた。
「いいよ!弾けなくてもいいから!!」
だから、と苦しそうに続けた。
「明日の放課後もここに来てよ!明後日も、明々後日も、ずっと!!」
いつまでだって、待ってる。
耳をふさぎたくなった。
汚いあたしに、そんなきれいな言葉、もらう資格なんてないから。