やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!今の話聞かなかったんですか?何も警察に連絡しなくても。」
思わず、私は、叫んだ。
銀行内のすべての視線が私に集まる。
「・・・お嬢さん、このお爺さんの身内の方ですか?」
お爺さんを床に押さえつけている初老の警備員が私に聞いてきた。
「・・・・いえ、違いますけど・・・。」
「だったら、静かにしておいてください。未遂に終わったとはいえ、銀行強盗しようとしたのは、事実なんですから。」
初老の警備員が、私を諭す。
私は、あまりにも正論の警備員の意見に反論することができず、隣に立っているサブを見たが、サブもしょうがないと言った表情で私を見返す。
「早く警察に連絡を。」
私が反論できないのを見て、警備員が銀行の窓口に再び叫んだ。
銀行の窓口の女性も、銀行強盗を試みたお爺さんのあまりの年寄りぶりに本当に警察に連絡すべきかどうか、少し迷っている様子だった。
パァ~ン!!
その時、いきなり、銀行の入り口で甲高い音がして、銀行内にその音が響き渡った。
今まで、お爺さんを見ていた銀行内の視線が、甲高い音がした銀行入り口へと移る。
私とサブも、甲高い音に驚いて、銀行の入り口を見た。
「動くな!!銀行強盗だ!!!」
入ってきた男2人が叫ぶ。
その男達の手には、私が見慣れた拳銃があった。