やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
「よし、それじゃ、行くぞ!」
真木ヒナタの声で全員立ち上がると、一斉に銀行の外へと飛び出して行った。
人質だった人や銀行員達はバラバラになり、「助けて!」と叫びながら、車が突っ込んできた場所から飛び出していく。
私とサブと真木ヒナタとカンジとミチとお爺さんも、一緒に「助けて!」と叫びながら銀行の外に飛び出していった。
外に出てみると、そこは、かなり混乱していた。
思ったより、銀行前にいる警察官の数も少なくて、いきなり飛び出してきた人質だった人々の対応に焦っている様子だった。
一人の警察官が飛び出した私達の前に立ちふさがる。
「もう、大丈夫です。安心してください。」
混乱を装っている私達を落ち着けようと声を掛けてくる。
「ああ、まだ、銀行の中に友人が捕らわれているんです!助けてください!」
真木ヒナタが、迫真の演技で警察官に迫った。
「なっ!本当ですか!わかりました!」
警察官は、そう言うと、別の警察官に声をかけて、銀行の方へと走っていく。
「おい、今のうちに逃げるぞ。」
真木ヒナタは、警察官が銀行の方へと走っていくのを確認して、私達に言った。
「はい。」
私達は、うなずき、真木ヒナタのあとをつけて、その場を走り去った。