やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
クスクスクスッ
「・・・・ヒナタ、何か笑い声が聞こえてくるんだけど・・・。」
真木ヒナタの後ろを目をつぶった状態でポチに手を引かれながら、組長が言った。
「そうか?気のせいじゃないのか?」
真木ヒナタが、笑いを必死にこらえながら答えた。
しかし、実際には、ポチに手を引かれる組長を見て、通り過ぎる人々が笑っていた。
ポチも、口には出さなかったが、恥ずかしそうな表情をしている。
「・・・・まだですか、真木さん?」
頬を赤く染めたポチが、真木ヒナタに聞いた。
「ん~・・・もう、すぐだよ。」
真木ヒナタは、前を向いたまま言った。
それから、5分程度歩いた後で、真木ヒナタが銀行の前で立ち止まった。
「どうしたんですか、真木さん?」
ポチが、真木ヒナタと同じように立ち止まる。
「・・・んっ、もう、目開けていいのか?」
組長も立ち止まって、真木ヒナタに聞いた。
「あと少しだから、まだ、目を開けるなよ、大和。」
「まだなのか・・・いい加減、俺の手を握っているポチの手が汗かいてて気持ち悪いんだけど・・・。」
組長が、嫌そうな声を出す。