やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
パン、パン。
取調室の中に響く一定のリズムで手を叩く音。
当然、それは、賞賛ではなく、組長の話を切る為のものだった。
「やはり、真面目に話す気はないようですね。」
残念そうな声の執事、しかし、その表情は、声ほど残念そうではなかった。
むしろ、残酷な笑みというのが、はまりそうな表現の表情だった。
「ちょっと、待ってください、龍一さん。 」
私は、組長の言葉に気になる点があり、執事に声をかけた。
「・・・どうしました、小夜さん?」
「あのですね、今、組長、仲間の裏切りって言いましたよね?」
私は、組長に確認を取る。
「・・・ああ、あの河童野郎の卑怯な裏切り行為。天が許しても、俺は絶対に許さない!この代償は、髪の毛全部剃って払わせてやる!」
力のこもった表情で決意表明をする組長。