やくざと執事と私【第3部 上巻:ラブ&マネー】
エピローグからプロローグ



天国のお母さん、お父さん、私は、今、警察署内の留置場にいます。



お母さんやお父さんが、生きていた頃には、考えられないことだけど、ついにこんな所まで経験してしまいました。



経験は、人生の宝物というけど、私にとってのこの経験も、いつか、宝物になるのでしょうか?



幸い、友人も一緒に捕まったので、心細くはありませんが・・・・。



私の未来は、どこへ向っているのでしょうか?








私は、鉛筆を置いて、書きかけの手紙に目を通す。



時間は、夜の22時。



留置場の消灯の時間。



今日も一日、朝から取り調べを受けて、疲れきっていた。



留置場内の部屋は、一人部屋のため、他の部屋の様子は、わからないが、かすかにどこからか、トトロのさんぽを歌う真木ヒナタの声が聞こえてきて、真木ヒナタが元気だということはわかる。



「・・・龍一さんに会いたいなぁ・・・。」



私が、思わずそうつぶやいた瞬間に部屋の電気が消えた。



グスッ・・・・・グスッ・・・・・



泣くつもりはないのに、自然に涙が溢れてきた。



鉄格子のついた小さな窓から、月明かりが、優しく私を包み込む。



「・・・・・・・みんな、元気かなぁ・・・・・約束、何一つ守れなかった・・・・。」



私は、いつまでの鉄格子のついた小窓から大きな満月を眺めていた。




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