ずっと一緒に*先生の青②





………睡眠薬?



思わず ポカンとしてしまう
私のひざの上
青波はご機嫌に
デスクの上に置かれた
風車を見て手を伸ばしてた



「眠らないんでしょう?
だったら薬で眠らせます?
その子」



「………え、いや……いえ」



頭の中は真っ白で
自分が母親として
最低な失敗をしたようで
恥ずかしくて
顔を上げられなかった









恥ずかしい気持ちを
引きずったまま
家に帰って



「……ただいまぁ……
青波、お家に帰ってきたら
『ただいま』だよー」



力のまったくない
疲れた私の声に
なぜが青波はパチパチ
手をたたいた




玄関で抱っこしてた青波を
廊下におろすと



トタトタ
リビングに向かって歩いてく




スニーカーをノロノロ脱いで


「待って青波ー
おてて洗おうねー」



もちろん
「はーい」なんて言って
青波が待つわけないけどね






初めての出産
初めての子育て



育児雑誌を読みまくり
必死になって勉強した



私に母親がいないから
私がまだ19だからと
バカにされたくない


………青波のためじゃない
自分がバカにされたくないから



青波の夜泣きは
育児書通り
6ヶ月から始まった



1歳過ぎても治らないなら
一応、医師に相談してみろって
雑誌に書いてたのに……





『睡眠薬飲ませます?』




あの小児科医の言葉が
その日ずっと
耳から消えることはなかった





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