初恋の先で君を愛せたら
Prologue
まっすぐと。ただまっすぐと。


どこまでも続いてそうなイチョウ並木はいつの間にか紅葉を迎えている。


夕陽の朱に照り映えるその姿は、あの日と何も変わらない。




わずかに見える落ち葉の先の教会に、少女は一人、足を踏み入れた。







ゆっくりと、懐かしそうに瞳を動かすと、最前列に歩み寄り腰を下ろす。




胸に抱えたノートに手を掛け、その一番後ろを開いた。











しばらくして、少女の目は潤み、止まることのない涙があふれる。











あどけなさの残る顔は、この上ないおだやかな笑顔を浮かべていた。
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