刹那
第2章~新たなる出会い~

卒業


あたしはあのパパを失った中2の夏から前に進むことはできなかった。

…進みたくなかったんだ。きっと。

だってあたしとママが前に進んでもパパはあの頃のまんま。

何も変われない。
変わりたくても変われない。

年も取らず、老いていくこともなく…


そんなの…

嫌だよ…

あたし達家族は3人でやっと「家族」なの。

死んだのがパパだろうとママだろうと
…あたしだろうと…
誰が欠けてもその家族は成り立たない。


そう思ってた。


でも現実はそうもいかない。
だってそうでしょ??

あたしは進みたくなかった。
あそこで止まっていたかった。

でも今鏡の前にいるのは…誰??

間違いなくあたしなの。
中村優李なの。


心の中では「進みたくない」そう思っていても時間は後ろへは戻らないの。
戻れないの。


だからあたしは
その人生の流れに
逆らわないで進んでいく。


そう。

前へ進む。
中学校を去る。

あたしは「卒業」しちゃうんだ。


パパ…。
ねぇ、パパ?

優李の姿、天国から見ててくれてる??

「おめでとう。」って言ってくれてるのかなぁ??

ねぇパパ??

あたしが…
あたし達だけが成長していくのを

パパは…
嬉しいの??
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