涙の雫が地球を癒す時

②神の裁き

 そして悠太が暫くバイクを走らせると、直ぐに渋谷に着いた。
ところが今日の渋谷は何かが違った。
いや、全てが違ったのだ。

 あんなに何時も人々で賑わっている渋谷が、今日は一人も人がいないのだ。
それどころか車も何も通っておらず、信号機も青のままで止まっていた。
そのお蔭で私達は直ぐに渋谷に着く事が出来たのだった。

 私と悠太がバイクを降りて大液晶画面の前に行くと、画面の映像が途切れ、画
面には綺麗な女の人が映し出されていた。

「さすがは空澄霞と悠太ですね…よく此処まで来られました。」

 画面に映っている人の声を聞いた時に思ったのは、さっきの電話の主と同じ声
だったこと。
もう一つは、この人が…この方が、凄く偉大であること。
何故そのように思ったのか分からないけど、私の中でそんな風にあの方のことを
受け止めているような気がした。

「…貴女は一体、誰なんですか?どうしてこんな大雨を…酸性雨を?」
「そうですね…貴方達二人が此処に来られたので、この雨は止ませましょう。」

 画面に映っている女の人が空に手を振り上げると、それと同時に雨がぴたっと
止んだのだった。
これには悠太も空を見上げ、目を丸くして驚いていた。

「さて、私が貴方達をこの場所に呼んだ事をお話しましょう。貴方達は、戦争と
いうものをご存知ですか?」
「ええ。知ってます。それが何か?」
「この戦争のことを神がお知りになり、お怒りになってしまったのです。よって
この世界を…後24時間で、滅亡させたいと思います。」
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