涙の雫が地球を癒す時
第二章『差別の無い世界』

①未来の世界

 それから暫く悠太は無言のままバイクを走らせていた。

そんな悠太の顔色を伺いながら話しかけようとするが、今悠太に話しかけても
冷たい反応しか返って来ないと思い悠太の背中を見つめて黙り込んでいた。

 森の方まで来ると、悠太が急にバイクを止めた。
私は悠太の背中に突っ込んでしまった。

「…空澄霞?」
「ふぇ…ごめん…いたた…」

 私はヘルメットを外してぶつけた額を軽く撫でた。

 すると悠太はバイクから降り、後ろの席に座っている私を抱き締めてきた。
私は持っていたヘルメットを地面に落としてしまった。

「…悠、太?」
「…24時間って…さっき女神が言ってたでしょ…」
「…うん…」
「24時間とかさ…神とか女神が何て言おうと…俺は、空澄霞のこと守るか
ら。」
「…悠太…」

 私は優しく微笑み、悠太の体を抱き締めた。
悠太は更に私を強く抱き締め、暫くの間黙っていた。

 この時悠太が何を考えていたのかは分からないけど、もしかしたら悠太も不
安だったのかもしれない。
もしも、本当に後24時間だったら…
消えて、無くなってしまうから。
出会う事は出来なくなってしまうかもしれないから。

 ねぇ、悠太…同じこと…考えてたのかな…

「…いこっか。」
「…うん。」

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