初恋
なんだか、帰りたくない。

先生と、もっともっといろんな話がしたいよ。


「じゃあ、また月曜に」


先生はそう言って、小さく手をあげた。


「はい、失礼します」


ほんとは別れたくなかったのだけれど。

初めて喋った先生と、これ以上一緒にいたら――ドキドキが大きすぎて、きっとわけわかんなくなるに違いない。





ひとりきりで歩いた帰り道。


「うふふ」


あたしは誰にも聞こえないように、小さく笑った。

図書室で、目の前に座っていた先生の笑顔が、忘れられない。


今日起きた出来事が、とてもじゃないけど信じられなかった。


――夢じゃ、ないよね?


ただもう、先生と喋れたことが嬉しくて。


「理科、頑張らなきゃ」


先生。
次はもっと、話せるかな。


空にはうっすらと、白い月が姿を現している。

次の月曜が待ちきれない。
この週末は、先生のことでいっぱいな2日間になった。

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