初恋

ふたり

次の朝、雄太の電話にあたしはたたき起こされた。


『――もしもし、零ちゃん?今日、今からヒマ?』


あたしは寝起きで、わけがわからず――うん、とだけ返事をした記憶がある。


『じゃあ1時間後に、迎えにいくね』


その一言で、ようやく目が覚めた。


昨日の晩は眠れなかったから――別に寒いわけじゃないけど、ベッドのぬくもりが名残惜しい。

日曜で学校の予定もなかったから今日は昼までゆっくり寝るつもりだった。


「どうしたんだろ、急に」


ぼんやりとした頭で、のんびりつぶやいていたのだが――急がないと、あまり時間はない。


あたしはバタバタと風呂場に向かった。

目をしっかり覚ますために、バスタブに熱めのお湯を溜めて、口元がつかるくらいまでお湯に潜る。


ぶくぶくと息を吐いて泡を立てているうちに、あたしはなんだか昨日のことが夢だったんじゃないかと思い始めた。



また、先生に会ってしまった。

どうしてあたしは、いまだにこんなにもドキドキしているのだろう。
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