怖いモノがあるのなら
辻井は少し離れたところから黙って誠の言葉に耳を傾けていた。


一通り聞き終わるとため息をつき誠を見つめる。


「それでか、さっき様子がおかしかったのは」


「気づいてたの?」


「侮るなよだてに保健医やってねぇよ、それにお前のことはよく見てるんだ…」


「せんせ…」


ジィィンと目頭が熱くなり慌ててゴシゴシとこする、その隙間から見えたのは辻井の左手。


「この手はお前を優しく抱く腕だ、怖くなんかない…怖がるな…」


「…抱くって」


「バカ、赤くなるな今のは変な意味じゃない」


そうゆった辻井の耳がほんのり赤い。
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