秘密の★オトナのお勉強①



あたしの妄想癖を分かっているのか、貞永はそれ以上は何も追及せず、自分の用をあたしに話し始めた。




「隼人が、みんなで写真撮ろうだってさ」



「確かに、さっきそんな事言ってたもんね」




周りを見回していると、そこにはカメラの脚立をスタンバイさせた隼人の姿があった。


手を大きく振る隼人は、無邪気な子供のように見える。




「今行くーっ…!」




そう力いっぱいに叫んだあたしは、貞永と共に隼人の下へと向かう。


暇そうにうろついていた冬馬や、トイレで足を踏んで帰ってきたであろう佐田さんも合流し、あたし達はカメラの前で並ぶ。




「セルフタイマーやから、五秒後にシャッター切れるで!みんなええか?」



「うんっ…!」




元気いっぱいな返事を聞いた隼人は急いでカメラの画面の中に納まる。



そして次の瞬間、カシャッというシャッター音が響いて、


あたし達の楽しかった日々が、一枚の写真の中に納まった―――




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