プラチナの誘惑
まるで簡単な事のように言う言葉の意味を最初は理解できなかったけれど
昴の笑いをこらえた顔を見ているうちに…。

「あっ」

叫んだと同時に、両手で首を隠す。
俯いてる顔はきっと赤いはずで。

車が動き出してからしばらくじっとそのまま固まっていた。

「…次の日みんなからいろいろ言われて大変だったんだからね。
私についに彼氏ができたのかとか部長に聞かれて…。
否定するのにパワー使い過ぎてフラフラだった」

フラフラというより、今まで恋愛がらみの話題を提供した事のない私にとっては気絶に近い状態だった。

央雅の働いてるお店で飲んだ時につけられたキスマーク。

初めての経験だったせいか、翌日会社に向かう時にも気を遣うなんてせず。

見事に髪をアップにして出勤した馬鹿な私。

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