プラチナの誘惑
優美でさえ連れてきた事はない俺が、何の迷いもなく彩香をこの部屋で抱いて、朝目が覚めた時に横にいる事を期待していたなんてな…。

ニューヨークで彩香を見かけて。

俺の見た目や親父の会社の事なんて抜きに、

絵を見る瞳と同じ優しさで俺を見て欲しい。

女には期待しないように生きている俺が忘れていた気持ち。

美術館で見つめる俺は、あの日から彩香に堕ちて。
けれど。ひたすら求める心を隠して、曖昧な距離でしか近づく事ができなかった。

仕事には手を抜かない彩香の評判は社内では誰もが認めるところで。
綺麗な容姿にも関わらず
恋愛には消極的な性格からか、宣伝部のかわいい秘蔵っ子として守られているせいか。

なかなか距離を縮める事もできず。

それでもまだ時間はあると、見つめるだけしかできない日々を送っていた。

ニューヨークで彩香に抱いた気持ちがどれだけ大きなものかを気付かないまま。

ただ見ていた。
< 144 / 333 >

この作品をシェア

pagetop