プラチナの誘惑
でも、昴に惹かれてるのは、入社してからずっと感じていた。
どうしてなのかわからないけれど…。

昴の目の奥に見え隠れする感情の脆さ。
次々に書き上げていく図面の完成度から見える…仕事への真摯な態度。

見つめられる女の子達が、みんな幸せそうにはにかむ瞬間。

少しずつ、たわいのない出来事の積み重ねが私の気持ちを昴へと…愛情に基づいた想いへと動かしていったんだと…。

認めると、なんて簡単なこの気持ち。
とても心地好い。

今は、その心地好さに素直になりたいから…。

「あのね…昴…真田さんなんだけど…」

「ん?
真田さんがどうかしたか?
何か聞く事残ってたか…?」

「あ…ううん。そうじゃなくて…。
明日ね…真田さんと…」

明日のお見合いの相手は真田さんのはずだったって言おうとしたところで。

ちょうど。目の前には

ジュエルホワイト…。

「着いたな。…で、何の話だ…?
真田さんがどうしたって?」

そう言いながらお店に入る昴の背中を見ながら。

私もただ黙って後について行った…。

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