プラチナの誘惑
「営業部の仕事はきついけど、お客様と直に接する事ができるし勉強にもなるから。
いづれ宣伝部に戻る時には今より成長できてると思うから。

途中で結婚しちゃっても仕事は続けてね」

最後はからかい気味に。
探るような口調に瞬きも止まってしまう。
結婚なんて…まだ考えた事ないけど…。

もしも結婚するなら…。
って考えて浮かぶのは、やっぱりあの顔で…。

「昴にも仕事続けさせろって言っておこうっと」

くくっと肩を揺らしながらお腹を抱えてる逢坂さん…。

昴が

『思い込みと勢いで生きてて敵わない』

って呟いていた事を思い出す。

仕事をばりばりこなすやり手の営業担当とは思えない…。

「あ…ごめんね…くくっ…嬉しくて…ふふ…」

笑いながら謝られても…。

私は何も言えずに苦笑するしかない。

でも…昴と私の事を当たり前のように認めてくれてる言葉は、ほんわかと温かい気持ちにしてくれる。

今まで感じた事のない感情に支配されて、予想外に嬉しい。

そんな時、私の背後から

「…逢坂さん?」

と声がした。
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