涼×蘭
「で、葵先輩ですか?」

「はい!」

「そうですか」

「鷹、知り合い?」

「知り合いも何も城華で俺の一個上の先輩です」

「へぇ」

「嘘!? 俺兄ちゃんからそんなこと聞いたことない……」

「俺は蘭のこと結構聞いたことありますけどね」

「何でですか!?」

「生徒会で一緒だったので」

その時は鷹が会長、副が楓、会計が葵、書記が悠斗だった。

ちなみに歴代の生徒会会長の中で一年が会長を務めたのは鷹と涼のお父様とあと数人だけだ。

「ど……どんな話してました?」

「とりあえずあの葵先輩の弟は葵先輩同様ものすごい馬鹿だということが分かるような話です」

蘭のお兄さん、葵の成績は上の中だった。誰もが憧れる程の容姿でモデルを努め、スポーツもそこそこ、だが、性格に異常な欠点があった。
葵は蘭の話になると止まらない……。ブラコンなのだ。

そしてその蘭の話は大抵、馬鹿話。

真夜中にいきなり倒立の練習をしようとしたり(迷惑極まりないので止めたらしいが)。朝、あと少しで家を出る時間だというのにまだ制服に着替えられてなかったり(学ランの釦が多すぎて掛け違いしまくりだったらしい)。チビなことを気にして牛乳一パック飲んで腹壊したり。
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