先生のビー玉
掃除も終わりに近づき、後片付けを始める。
相変わらずの女子高生…
あまりの雑さにため息が出る。

「これじゃ…怒られちゃうって」

なんて言いながら整頓する佳奈。
すると…

「相変わらずだね」

用務員のおじさんが声をかける。

「あ、今日は来ないから具合が悪いのかなぁなんて思ったんだよ」

佳奈が言うと、

「ちょっと用事があってな。
ちゃんと掃除がされてるか確認しに来た」

と笑うおじさん。

「ちゃんと掃除はしたよ。
は何も水をかけといたし。
でも、真夏の昼に水かけたらいけないんでしょ?
だから、陰のほうだけかけたけど…」

佳奈が言うと、

「それでいいよ。
後は放課後にかけるから」

と言われホッと胸をなでおろす。

「ほら、手伝うよ」

「あ、いいよ。これくらい一人でできるから」

佳奈が言いながら後片付けをする。
すると…

「今日は通ったかい?」

と一言。
ニカッと笑った佳奈。
大きく頷く。
1年のころから連続とは言えないが…だいたいがこの掃除場所である。
彼が通った時の表情を見ていれば…一目瞭然である。
気付かれた時から、ちょっとした人生相談をしてもらっているのだ。

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