異界見聞録

「焔よ…その娘、麻由と言ったか?」

「あぁ……。」

スッと焔の背後に隠された。
な、なんなの!

「麻由。ワシは清弧じゃ。清い狐と書いて清弧。麻由の婿になる男の名じゃ、忘れるでないぞ?」

むむむ婿ぉおおおお?!
異世界に飛ばされたと思ったら、狐の嫁入りかよ!
しかも、出る場所を間違うとか無い!
そもそも何で私!

すると、今まで黙っていた焔が口を開く。

「…麻由は私の嫁にする。」

「へ?ええぇぇ!」

「ほぉ?何事にも冷静沈着と言われている神鬼の長にもそのような顔が出来たのだな。」

うぅぅ…、絶対楽しんでるよ!
てか、誰でもいいから助けて!!
前方から来るダイヤモンドダストが!(混乱中)


「黙れ…、麻由は私の髪や瞳を見ても恐れなかった。初めて憎らしく思っていた人間を好きになれた。初めて、欲しいと思ったのだ…たとえお前でも譲らぬ。」

「はっ…上等じゃ。麻由はワシのもの…それは変わらぬ。」



……未だかつて、モテ期と言うものが無かった私に、よりによって今モテ期が!

「まぁ、今日の所は引いてやろうかの…。」

「あぁ…そうしろ。要件はそれだけか……。」

「そんな訳なかろう。焔、響月(きょうげつ)が盗まれた。」





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