シェジャン姫の遊戯
美しき王妃の涙
ジュリエナ公国は、
決して広くない領土であり

その為、周辺の諸外国とは、
常に中立という立場を取り、

友好的同盟外交によって、
その国力を維持してきた。

しかし前年、大公が流行り病に倒れ、
あっけなく亡くなってしまったのだ。

ムーラン王妃の悲痛な嘆きと悲しみは計り知れず、

その後を追ってしまうのではないかと心配した臣下達が

王妃を日夜見張るほどのものであった。

臣下達の心配の種はもう一つあった。

外交的手腕に長けていた、大公の亡き今、

この小さなジュリエナ公国は、
荒海に放り出された、
小さな木の小船であった。

今、一角の波が襲えば簡単に沈んでしまう危うさを孕んでいた。

特に、隣国アロース王国との同盟が解消されれば

周辺諸国との力の均衡バランスは崩れ

瞬く間にこの国は滅ぼされてしまうだろう。

国民の誰もがこの国の行く末を案じていた。

そんな中、大公の喪が空けて数ヶ月たった頃、
隣国のアロース王国から、

一通の舞踏会の招待状が
ムーラン王妃に届いた。
< 2 / 19 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop