サクラリッジ
結局、その日の私の行動の不可解さは、今になっても解明されていない。
私はその後、彼女が故郷に戻るまでの間に、四度ほど会った。
あの日ほど熱に浮かされることもなければ、混乱することもなく、愛し合うもののあるべき姿でいられたように思う。
そこには何の不満もなかったが、私はどうしてもあの日のような不可思議な刺激を思い出さずにはいられなかった。

ビュネは、東京にいる間に、私が思う以上に行動していた。
私と会うとき以外にも、隣に住んでいるユーコやら、他の仲間やらと一緒で、一人でいることはほとんどなかったらしい。
私はビュネの動向をそれとなく知ってはいたが、具体的なことは何一つとして知らなかった。
それゆえに、彼女の行動力には驚かされたのを憶えている。
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