サクラリッジ

プライベートアイズ

結論からいうと、私とビュネは別れた。
付き合っていたのかは、今もって実感がないが、別れを口にするとそんな気分になるから不思議だ。

結局のところ、ビュネはハリーとは交際しなかった。
私たちの関係を見直すために、離れてよく考えようということになった。
今でも離れているのだから、これ以上どう離れるのかは疑問だが、関係を清算するのには賛成だった。
そんな事があったのは憶えているが、それ以上は思い出せない。
いや、思い出したくないのだ。
ぼんやりとしたイメージは浮かんでくるが、どうしてもそれをはっきりさせる気にはならなかった。

私はひとりになった。

それだけのことだ。
涙も悲しみもない、ひどく落ち着いた気持ちだった。
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