虹の世界
「おはよ。」


「おはようございます。」


爽やかな朝。

午後からの仕事なのに、必死に早起きしたかいがあった。


「隣、良い?」


「どうぞ。」


優しく笑って俺を見上げる。


ただ、空を見ているだけ。

何も話さずに、ただ、空を見ているだけ。

そんな時間が、とても新鮮だった。


「コホ………」


小さく咳込んだ。


「大丈夫?」


「大丈夫です。あ……もうこんな時間だ。」


7時を過ぎた。


「仕事?」


「ええ。えっと………」


俺を見て首を傾げた。


「吉永です。吉永 瞭です。」


「吉永さんは、今日は?」


「今日はまだ大丈夫。もう暫くその辺ふらふらしてから帰ろうかな。えっと……君の名前も聞いて良い?」

はっとしたように俺を見て、くすっと笑った。
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