くちづけのその後で
「バイト、お疲れ!」


あたしは、精一杯の笑顔で明るく言った。


「うん♪サンキュ!」


西本君は、オレンジジュースを一気に半分くらい飲んで、眉を小さく寄せながらあたしを見た。


「朱莉さん、泣いた……?」


「えっ!?」


そんなにわかるっ!?


西本君の言葉に驚いて、慌てて鏡を見た。


「今のは俺の勘やから」


そう言った彼に、無言で苦笑だけを返した。


西本君は何かを察したのか、それ以上は何も言わなかった。


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