くちづけのその後で
「朱莉?」


不意に、颯斗があたしの顔を覗き込んで来た。


「え……?あ、何?」


「ボーッとしてたから、どうしたんかと思って……」


心配そうな表情の颯斗を不安にさせないように、慌てて笑顔を向ける。


「慣れへん事した後やから、ホッとしただけ。でももう大丈夫やから♪」


「じゃあ、イイけど……」


あたしが微笑みを浮かべながら言うと、颯斗も優しい笑みで応えてくれた。


真夏の昼下がりの太陽の下、あたし達は三人で手を繋いで家に帰った。


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