くちづけのその後で
電話でごめん……


だけど…


あたしには、面と向かって別れの言葉を投げ掛ける勇気は無い。


だから、こんな風にしか出来なかったんだ…。


「ばいばい……。颯斗……」


あたしが小さく呟いた言葉は、行き交う車に掻き消されて静かに消えていった。


向かい風で良かった……


そう思ったのは、あたしの瞳からとめどなく零れ落ちる涙を、風が乾かしてくれるから…。


ばいばい、颯斗……


本気で好きやったよ……


ううん、今もね……


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