くちづけのその後で
「あたしは、平日の17時までの勤務なんですけど……。西本さんは学生さんですよね?」


「はい」


彼の返事を聞いた後、あたしはあくまで控えめに続けた。


「だったら……あたしがいる時間帯での治療は、ちょっと難しいと思うんですけど……」


眉を寄せた西本君は、頬杖を付きながら話を聞いている。


「もしお時間が大丈夫なら、ご希望通り平日の17時までで予約を取らせて貰いますけど……」


最後にそう付け足して、黙ったままの彼の返事を待った。


< 70 / 808 >

この作品をシェア

pagetop