くちづけのその後で
その夜は、中々寝付けなかった。


『“好き”って気持ちに、時効なんてない』


『朱莉は、我慢し過ぎやねん』


『好きなんやろ?今もまだ……』


昼間の亜由美の言葉を、何度も思い出してしまう。


今までと同じように、順応出来ているつもりだった。


だけど…


それは自分自身が傷付かない為に、逃げているだけなのかもしれない。


颯斗……


どうしてるんかな……


あたしは颯斗の事を考えながらため息をついて、そっと瞼を閉じた。


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