【短】雪の贈りもの
*勇 気


翌朝、目覚めてすぐに開いたカーテンの向こうは快晴。

突き抜けるような青空に、本当なら清々しさを感じるはずなのに。

なんだろう、この気持ち。

この調子なら今日は1日、雪の“ゆ”の字もなさそう。

私は着替えを済ませ、238円を、お財布にあった500円玉に変えると、それをポケットにしっかりとしまい、携帯をパクンと開いた。

見るのは携帯小説の自分のページ。

雪男さん、読んでくれたかな……。

開いた感想ノートには

『あ……』

また新たな書き込みが1件あった。

『更新分読ませていただきました。

ドキドキですね。

早く雪が降るといいですね。

雪男』

また雪男さんだ……。

『雪男さん。

コメントありがとうございます。

まだ自分でもこの気持ちの意味を理解できていないのですが、今朝起きて真っ先に天気を確認する自分がいました。

突き抜ける青空にホッとしたようながっかりしたような、不思議な気分です。

次の降雪はいつでしょうね』

こんな事、雪男さんに聞いたって仕方ないのに。

私はまた、窓の外を見つめた。

やっぱり、どんなに見ても、変わらず青空。


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