【短】雪の贈りもの
その日帰宅して、僕は弁当を買い忘れた事に気づいた。

けれど、弁当なんかどうでもいいと思うほどに、大事なものを見つけた気分で。

僕はすぐにパソコンを開いた。

今のこの気持ち、彼女の事を早く文章にしてみたいと思ったんだ。

そして携帯小説のサイトを開き、たまたま新着コーナーで“雪子”という名前の作家さんに目を止めた。

字は違うけれど彼女と同じ名前で、僕のHN雪男とも繋がりを感じて。

なんとなく。

本当に、なんとなく。

そのまま、雪子さんの小説を覗きに行った。

──運命。

偶然が重なればそれも運命……。

何かの歌詞で聞いた事のあるフレーズが頭を過ぎった。

だって、たまたま開いたその小説に、僕が登場していたのだから。

だとするならば、雪子さんは、彼女……なのか?

僕はドキドキと高鳴る胸の鼓動を感じながら、彼女の感想ノートにコメントを残した。


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