大嫌いでも、大好きだから。



彼もまた私と同じように、
叶わない恋をしているのだろうか。

悲しみを帯びた瞳から、
目が離せない。



「宮瀬さん」

鳳くんが名前を呼んだ。

頭を撫でていない方の、
握った手に力が込められる。


「な、に……?」
「さっき梓って言っていたけど」

予想もしなかった言葉に、
身体中が震えた。
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