大嫌いでも、大好きだから。


けれど握られた手に今以上に力が込められ、
それでも変わらず瞳は優しいまま。

彼は微笑んだ。


「隠さなくていいよ。西野梓なんでしょ?」
「ち、違……」
「あいつ、人気あるもんね」


私が否定する間も与えず、鳳くんは話を続けた。

どんなに誤魔化そうとしても、彼はすべて分かっているような口ぶり。


……嘘はつけないか。

私は観念したように、頷いた。
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