恋〜彼と彼女の恋愛事情〜


私達は屋上に向かう階段の踊場にいた。

「朝からすごい噂なんですけど?」

不機嫌そうに私をみる。

「・・・うん」

「昨日一緒に帰ったのって純でしょ?
・・・だから言ったじゃない。バレたら大変な事になるって!!」

「うん・・・」

私もこんな事になるとは、思わなくて。

「とにかく、純が彼女だって、なんとかバレないようにしないと!」


「え!?そこまでしなくちゃダメなの?」

ハァ、と溜め息をつく。

「あのね、沢田を含め、あの3人の人気は半端ないのよ」

「3人?」

「洸一、聡、暁の3人よ!」

「未那?」

「何?」

「3人と知り合いなの?
・・・・名前で呼んでたよ?」

私の言葉に、『あ、しまった!』
そんな顔をした。


「・・・純だけに言うけど、幼馴染みなのよ。
小さい頃は私の兄と一緒に皆で遊んでたくらい仲良かったの」

「へぇ!」

そーなんだ。


「中学になって、3人共凄くモテ始めてさぁ、私と仲良くなれば、あの3人と近付けるって思われて・・・それで嫌な思いをしたから、幼馴染みだとは言わないことにしたのよ・・・。」

「そうだったんだ」


「純なんて、人がいいからすぐにつけ込まれるのが、目に見えてるのよ」


未那は私の肩を掴むと

「純が、沢田を本当に好きで付き合うなら、翔となるべく協力するから」

私の事、心配してくれたから、反対してたんだね。
すごく嬉しかった。
だから

「未那、1ヶ月だけ」

お願いすることにした。

「え?」

「理由は聞かないで、1ヶ月だけ、バレないように協力して」

「純?」

「1ヶ月したら全部話すから・・・・・お願い!」


私の思いが伝わったのか


「・・・わかった」

未那は何も聞かずに、頷いてくれた。





私ね、未那と友達になれて本当に良かった。

ずっとずっと、大切にしていくね。

ありがとう。







< 22 / 216 >

この作品をシェア

pagetop