キミの魔法



それで懲りないのが私で。

それから彼がバスにいる度、話し掛けた。

「今日は暑いねぇ」

「……。」

はーあ。

今日も独り言か…。


「そうな。」

「えっ!!?」

「声でけー」

初めて返事してくれた!

私のこと受け入れてくれたのかな。

嬉しい!!

「今日はあっついね!」

「それ2回目」

「あ、そっか。じゃあ…」

「お前うるさい。少し黙れ」


怒られてしまった。

でもそんなの気にしないっ。

だって今日は独り言じゃない。

ちゃんと会話だったもん。

言葉にトゲはあったけど、返事をしてくれただけですっごく嬉しい!



それからは返事を返してくれる様になった。



そして私は気付いてしまった。

「最近毎日ってくらいバス乗ってない?」

「はあ?」

と言って窓の方を向いてしまったけど。

髪から少し出ている耳が赤くなっている気がする。


自惚れてもいいのかな。

私に会うためだって思ってもいいのかな。










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