野獣狂想曲
しばらく目を閉じたまま余韻に浸っていた。

月島蓮がこんな演奏をするなんて思わなかった。

拍手喝采をするほど上手いというわけでもないし、ブーイングをするほど下手なわけでもない。
どこにでもいるようなそこそこ弾ける人の音。
でも、私は彼の音に心を揺さぶられた。



「…所々小さなミスがあったけど」

「え?」

あ!!
口に出しちゃった!!

慌てて口を押さえるけどもう遅い。

月島蓮が立ち上がって近付いてくる。



わ、私、殺される!?



あまりの怖さにきつく目を閉じた。

その瞬間肩を掴まれた。

「で、でしゃばった真似してすみません!!」

「――――――!?」

私の言葉と被るように月島蓮も何か言った…?

思わず目を開けてしまう。
すぐ目の前に月島蓮の顔がある。
でもその顔に怒りはない…?

「お前わかるのか?」

「え…と、前に、練習してたから…」

私がそう言うと月島連が頭を下げた。

「っ!?」

「頼む!俺の先生になってくれ!!」

「は、はいっ!…………え?」

思わず返事をしてしまったけど、私、これからどうなっちゃうの!?


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