なっちゃん
「…んん、おはよ…う、ございます…」
先輩は目を擦りながらそう言うと、ご丁寧に、ぺこりと頭まで下げてくれた。
「おはようございます…」
私も慣れない正座をして、ぺこりと頭を下げて挨拶をした。
だって、生徒会の人だよ?
容姿端麗、成績優秀、おまけにスポーツもドンと来い。
そういう人達が集まる王華の生徒会は、アイドル集団と言っても過言ではなかった。
そんな人を前にしたら、自然とちゃんとしなくちゃと、背中がしゃんとしてしまう訳で。
確かこの先輩、生徒会の中では現会長に次ぐ人気らしい。
美しいものに目が無い友人・未幸(ミユキ)が、そう洩らしていた。
次期会長との呼び声も高い。
先輩は相当深く眠っていたらしく、時折肩をぐらりと揺らしては、ハッとして…の繰り返しがしばらく続いている。
私はそんな先輩を横で見ていた。
生徒会の人なんて、実際役員や委員会で何か役職に就かなければ、近くで見られる機会など殆ど無いもので。
これも何かの縁だ。
そう勝手に解釈して、その姿を拝ませてもらおう。